HIV検査について

エイズやHIV感染については、最近、マスコミ等で取り上げられる機会が少なくなったこともあり、一般の人々の関心は薄れがちですが、文明国でエイズが増えているのは日本だけだといわれています。
日本国内では、HIV感染者・エイズ感染者は年々確実に増えています。感染してもエイズ発症までの数年間は特別な自覚症状がほとんどなく、感染に気づくことができません。
そこで、感染の心配のある場合には血液検査が必要です。
HIV検査には抗体検査とNAT(核酸増幅検査)検査があります。
抗体検査は方法が比較的容易で、スクリーニング検査として広く用いられています。数十分で結果が出る迅速検査も抗体検査のひとつです。
ただし抗体スクリーニング検査では、HIVに感染していないのに、たまたまHIV抗原と反応する抗体を持っていて検査結果が陽性(偽陽性)となる人が、通常1000人に数人はいます。従って、抗体検査陽性の場合には、その陽性結果が本当にHIV感染による陽性なのか偽陽性なのかを確認するHIV確認検査(WB法:ウエスタンブロット法)を行う必要があります。

抗体スクリーニング検査で陰性の場合、HIV感染の心配はほとんどなくなります。ただし、感染後2ヶ月以内の場合は感染していても検査結果が陰性となるので、心配が残る場合は2ヶ月以上経ってからもう一度検査を受けましょう。
HIV抗体の即日30分検査(迅速抗体検査)は、感染の心配なことがあってから2ヶ月以上たってから受けてください。プライバシーは守られます。 受付時の氏名は匿名(仮名)でもかまいません。
検査は担当医と簡単な面接をし、少量の採血を受けるだけです。検査結果は約30分後、担当医より聞くことができます。
迅速抗体検査法は通常の抗体スクリーニング検査法とほぼ同じ精度であり、検査法として特に問題はありません。安心して受けてください。心配なことや不安なことについては担当医に相談してください。

一方、NAT(核酸増幅)検査は、血中のウイルスそのものを検出します。技術的に高度な検査で、抗体検査に比べ費用と時間がかかるので、スクリーニング検査としては通常使われていません。 またNAT検査は結果が出るまでに7~10日間かかります。厚生労働省はエイズ対策研究事業としてNAT検査(核酸増幅検査)を行っております。

この事業の協力医療機関では、迅速検査が陽性で確認検査が必要な場合や、感染初期の可能性がありNAT検査を希望する場合には、速やかに受けることができます。

それでは感染機会からどのくらい経てばNAT検査ができるのか?皆さん、この、いつ検査ができるのかで悩んでいます。
NAT検査では、抗体検査に比べ感染初期のウインドウ期(感染しているのに検査では陰性となる期間)を11日程度短縮が可能です。ただ抗体検査のウインドウ期を2ヶ月として、2ヶ月後の検査で陰性であれば感染の可能性を完全に否定できます。 NAT検査の場合は理論的にはこの2ヶ月も11日程度短縮できることになりますが 大差がないので、抗体検査の場合と同様に2ヶ月ということで良いかと思います。

ただし、最近の抗体検査はかなり改良され検出感度が高くなっているため、感染後1ヵ月後にはほとんどのケースで抗体が検出されます。従って、感染機会後2ヶ月前であっても、感染が心配で検査希望があれば1回目の検査を先ず、感染機会後1ヶ月目で受け、陰性であればひとまず安心いたしましょう。

その後、感染を完全に否定するため、念のための検査を感染機会後2ヶ月以降に受けるという選択肢が多くの人にとっては最も現実的な方法だと思います。したがって、通常のHIVスクリーニング検査は全て抗体検査で行い、NAT検査は感染初期症状等があり、感染初期が疑われる場合か、検査希望者から特別にNAT検査の希望があったとき、考慮するということが良いと思います。

感染の心配のある方は検査を受けて心に平和を勝ち取りましょう。